鍛金にまつわる道具~金槌(かなづち)編~

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こんにちわ!

前回の鍛金にまつわる道具~当金(あてがね)編~で鍛金道具のメインともいえる「当金」を紹介しましたが、今回はもうひとつ重要な道具、金槌(かなづち)について紹介します。

↑いろいろな種類の金槌の頭。


鍛金道具において2大柱ともいえる当金と金槌は、同時に数が沢山いる道具でもあります。ベテランの作家さんや職人さんになると総合計いったいどのくらい所持されているのか・・

金槌は、一般的にトンカチ等と呼ばれているものと同じものです。誰でも一度や二度は釘を打ったりするときに使用したことがあると思います。いわゆるアレです。殆ど同じです。

違うことといえば、作品になる金属に直接打ち付けるので、金槌の表面はきれいに保ちます。ピカピカ鏡面仕上げが一般的ですが、わざと表面を荒らして模様を付ける荒らし槌というものもあります。その表面がそのままたたいた金属にうつるので、ピカピカな作品を作りたいときは金槌の表面をピカピカにしなければいけないし、傷が入っている金槌でたたけばその傷がそのまま金属の表面に傷がつきます。

よーするに、鍛金で使う用の金槌で釘でもたたかれたらギャアアアアアと悲鳴上げたくなるものです。


で。

金槌もやっぱり自分で作りますよ~っ!

やっぱりぃ。やっぱりなんです。工芸とはそういうものらしいんです。合言葉は「売ってない」の一言に限ります。そういうものなので、べつにみんながみんなこだわりの道具を作りたいから自作しているわけではありません。ぶっちゃけてしまえば市販品が売ってないのと、あっても高くつくから。道具の自作はいわば避けては通れないんですよね。

金工始めたばかりの頃は道具作りばっかりしていて、ぜんぜん作品制作まで辿り着かずやきもきしたものです。そこそこ道具が揃ったいまになってもけっきょく道具制作や手入れは定期的にやってます。作品制作をしているとどうしても欲しい道具が増えてくるんですよね。昔はこの道具作りが面白いと思えなくて早く作品制作したいとばかり思っていましたが、最近は使い勝手がわかってきた道具も多いので楽しみが感じられるようになりました。

なにごとも最初うちは辛抱が大事ですね。

作りたい金槌のなんとなくの形やサイズを決めていきます。

ザツなメモ書きですがまぁわたしはいつもこんなかんじです・・ゆるい人間ですみません・・

金槌は作るといっても、既製品で購入した金槌の頭を鍛造して再加工するので、当金の時ほどフルハンドメイドじゃないです。なのですこーし楽です。いや、体力的にはだいぶ楽かな・・?

↑鍛造の際に使用するアセチレンガスです。道具作りは、鍛金ではなく鍛造で制作します。

鍛造とは・・金属を熱し、金属が赤いうちに金槌でたたいて成形すること。

当金作りも鍛造で制作しました。わたしがいつもやっている鍛金は、金属を熱した後冷まして素手でもって作業しますが、鍛造は熱いままやるので慣れないうちはかなりアワアワなります。

いつもは普通のプロパンガスだったりで作業してますが、こういう時は火力が強く出せるアセチレンガスバーナーを使用します。

これが、なんというかまぁこわいんです。学生の頃ガスとエアーの順番を間違えて消すとパーンとまあまあ大きい音が鳴り、慣れない頃は怯えてました。風船の割れる音とか大の苦手な私はいつもドキドキしながらやったものです。(いまでも久々にやるとちょっとビビります)

このアセチレンガスで熱した金槌の頭をカンカンとたたき目指す形になるまでひたすら成形します。


これはまた番外編ですが、一から金槌を制作することもできます。

当金と同じ、炭素鋼45Cで制作します。このときは、鋼の丸棒から制作しました。

普通の鍛造とまぁあまり変わらないのですが、これはなかなか難しかったです。

金槌の成形→柄を入れるための穴あけ→焼き入れ→研磨

と、オールハンドメイドでここまでやりました。

何が一番難しかったって、中心の穴あけです。柄を入れるために必要な穴なのですが、ドリルなどでピャッとあけるんじゃないんです。

専用の鏨(たがね)をくさびに金槌でたたいて割りあけるといいますか、押し入れるといいますか、まさに押しとぉーる!です。これもなかなか力がいるんです・・

もう金槌の頭もすべて一から自作するところまでくると職人さんのお仕事の範疇に入ってくると思いますのでなかなか技術が足りませんが、すべて自分で作ってしまう作家さんもいるそうですね。スゴイ。

わたしは両方経験してみた感想だと、正直一から作るやり方は時間がかかりすぎると感じたので、市販の頭を購入しそれを加工するので充分だと思いました。

が、ひとそれぞれなのでこだわって作れたらそれはそれでカッコイイですよね。


鍛造をして、思い通りの形になったら金槌の頭の加工終了です!

今回わたしはいわゆる変形槌といわれる長手のものを中心に作りました。基本的な絞り槌はもう沢山持っているので、すこし変わった長い形の金槌がメインです。

鍛金用の金槌は大きく分けて3種類あります。

①絞り槌(しぼりづち)・・鍛金の「絞り技法」で形を作るための金槌

②均し槌(ならしづち)・・槌目を消してなだらかな表面にするための金槌

③荒らし槌(あらしづち)・・金属の表面を荒らすための金槌。さまざまな模様にできる

ものすごくさらっとですが代表的な3種類です。他にもいろいろ種類はありますしサイズも様々。この作業にはこのサイズの金槌がいいとかありますが、自分にあったものを見つけるのが一番だと思います。

↑金槌の打つ部分に模様があるのわかりますか?これが「荒らし槌」です。

長手の変形槌とともに荒らし槌を多めに増やしました。

わたしはかなり荒らし槌を使用するので多めに持っています。いろいろな模様があってワクワクします!

荒らし槌制作のやり方としては、成形後真っ赤に熱した金槌の表面になにかを打ち付けて跡をつけるといった簡単なやり方です。そしてその跡のついた金槌で金属をたたくとその跡が打ち付けた金属にそのままうつるといったしくみですね。

この荒らし槌の模様の付け方は人それぞれですが、石を打ち付けて表面に傷をつけるというやり方が一番代表的だと思います。その辺に落ちてる大きめの石を拾ってこればOKです。ただ、いくら真っ赤にした軟らかい鉄が相手でも何回か打ち付けてるとやわらかめの石なら割れます。なんかの修行みたいですが石はそこらへんにいっぱいあるので無くなれば補充。

石で傷つけるやり方の他にも、

・尖った釘を打ち付ける

・アンビルの角に打ち付ける

・ヤスリ目を押し付ける

・ドリルや鏨で模様を彫るetc

といったようにやり方はさまざまでとくに決まりはないのでいろいろ試すと楽しいです!かくいうわたしも全然セオリーどおりじゃないその場の思い付きのやりかたで作った荒らし槌がいまでも主戦力で、本数増やしたくらいです。まぁ、そのくらいのふわりとした感じで大丈夫ですよ。きっと。

仕上げパーツとして、使用中に金槌の頭が抜けにくくなるように柄を入れたあとにくさびを打ちますので作ります。わたしはなんか嵌めたときの色味が好きで真鍮片を好んで使いますがなんでも良いです。鉄でも木でもくさびになりそうな破片ならなんでもオッケーです。ここでもまた自作するんですが、これも市販のくさびはかなり大きめのものが多いので仕方なく作るしかないのです。大きい金槌は市販のくさびを使用してみましたが、破片にお金出すのもなぁ・・って思ってしまいいつもその辺の破片を使用します。抜けにくくなるようにすこしギザギザつけます~

金槌は基本振り回して使っているのでそのうちに頭が抜けそうになりカタついてきます。が、くさびを入れていると全然違います。接着剤で固定したりもしますがまたそのうち外れていたちごっこになるので、くさびがオススメです。

ふつうのご自宅にあるDIY用の金槌のカタつきとかが気になる方はぜひ!お試しください。くさびの市販品はホームセンター等で手に入りますので。

そして金槌の柄を入れて完成です。柄は樫の木です。

今はきれいな白木ですが、すぐ汚くなります・・いや、良い言い方をすれば年季が入ります。写真左上にちょこっとうつっている柄も、もとは同じ白木でした。年季が入った方がかっこよくて好きです!

金槌の頭の加工で火にかけたりするので、柄を入れるのは一番最後です。この柄入れもけっこう手間がかかります。金槌の穴に合わせて先をヤスリで削る作業をします。太い柄だと削るのが地味に果てしないです。。

以上、金槌の制作まとめでした。

全然金工を知らない人にもなんとなく雰囲気が伝わったでしょうか。

いかにも小難しそーな「金属工芸」をゆるいわたしがかみくだいてふんわりお伝えできたらいいなぁと思います。

ふーんこんなのあるんだ~くらいにご興味をもって読んで頂けてたら幸いです。

それでは、また。

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